2025年12月10日
1. JCI2について
FDAやEMAでは、アダプティブデザイン、ベイズ流アプローチ、リアルワールドデータ、マスタープロトコル試験など、革新的な臨床試験方法論の利活用について議論が進められています。本邦においても臨床試験方法論のイノベーションを推進し、関連する検討結果を積極的に発信していく必要があるとの考えから、2025年10月、PMDA・国立がん研究センター・東京科学大学の3機関は、革新的な臨床試験方法論に関する多様な課題を議論する会議体 Japan Clinical Trial Methodology Innovation Initiative (JCI2) を設立しました。JCI2は各機関同士の包括連携協定の下で活動しておりますが、各機関からは資金提供を受けていない任意の会議体です。
JCI2の活動目的の一つは、産官学が共通の理解の下で、革新的な臨床試験方法論について議論し、その課題や留意点を整理していくことです。さらに、その成果を公開シンポジウムや学術論文として周知し、トピックによっては PMDAによるearly consideration や厚生労働省によるガイドライン(事務連絡など)の策定も進める予定です。
2.Dose Optimizationについて
10月上旬に開催されたキックオフ会議において、初回の議論テーマは「がん領域におけるDose Optimization(DO)の試験デザインと統計手法の留意事項整理」に決定しました。
当該プロジェクトのマイルストーンは、以下となります。
マイルストーン1:JPMA加盟企業様へのアンケートや論文レビューをとおしてDOの試験デザインと統計解析に関する課題(実務で悩むポイント)を特定すること
マイルストーン2:これらの課題や対応策について、シンポジウム等で情報発信をすること
マイルストーン3:JCI2としてのガイドラインを策定し、early considerationや事務連絡としての発出につなげること
3.アンケートについて
マイルストーン1について、皆様にアンケート調査を実施させて頂きたく存じます。本プロジェクトからの成果物をよりよいものにするため、アンケートはDelphi法に準じた流れで実施させて頂く予定です。
第1回アンケートは、「DOの試験デザイン・統計手法に関する論点(難所)」を収集するラウンドとします。例えば、「バックフィルの用量当たりの症例数はどの程度にしているか?」「がん種ごとに用量比較をする必要があるか?」といった、日々の実務で直面する疑問点や課題点を挙げていただけますと幸いです。試験デザイン・統計手法に直接関係していない課題でも問題ございません。他社さんに聞いてみたいことを挙げていただくのもよいかもしれません。もちろん、実際に直面する課題は、数行の文章にまとめることができない複雑なものと思いますが、本アンケートの趣旨をご理解いただき、実際のご経験を踏まえつつも、できるだけ一般化・抽象化し、日々の業務の参考となるレベルでご記載いただけますと幸いです。事務局で回答結果を整理・統合して論点リストを作成します。
第2回アンケートでは、各論点について、「開発上の重要度(リッカート尺度)」「遭遇する頻度(リッカート尺度)」「対応の難しさ(リッカート尺度)」「自社での対応方法(記述式)」などを回答頂くことを予定しています。事務局で結果を集計した後、回答者にフィードバックし、全体のスコア分布をみて再度自身の評価を見直す機会(第3回)を設定するか検討します。ガイドライン作成時は、事前に決定した基準で重要論点を抽出し、ガイドラインに記載すべき論点を決定します。
本アンケートは、「がん領域DOに関わる製薬企業の担当者(統計家、臨床開発、薬事担当者など)」をパネルとします。できるだけ多くの皆様からご回答をいただきたいと考えておりますので、DOに関心をお持ちの方やご経験のある方が周囲にいらっしゃいましたら、ぜひ本アンケートをご紹介いただけますと幸いです。なお、本アンケートは匿名でのご回答となりますが、第2回以降のアンケートやシンポジウムのご案内のためにメールアドレスのみご入力いただきます。ご登録いただいたメールアドレスは、事務局にて厳重に管理いたします。
第1回アンケートURL:https://forms.gle/AnWarPhCctJCVbiV8
回答締め切り日:2026年1月31日