予測AI:SOLPCSSOLPCS

予測AI:SOLPCS(ソルピクス)を利用したPHRデータの予測

当研究室では、個人の短期的なPersonal Health Record (PHR)*データから、その長期的な変化を予測する独自のAIアルゴリズム、
Self-Organized Longitudinal Prediction-Classification-Superposition (SOLPCS,ソルピクス)(自己組織化縦断予測・分類・重ね合わせ法)
を開発しました。
SOLPCSを用いれば、例えば、ある病院に通院している患者さんの数回分のPHRデータをまとめて学習することで、個人ごとに、将来、どのようにPHRが変化していくかを高精度に予測することができます。
SOLPCS(ソルピクス)は、どのようなPHRデータにもカスタマイズでき、汎用性が非常に高いアルゴリズムです。これまでの理論・実証研究により、認知症の領域では、SOLPCSが実用に足る精度で認知機能テストを予測できることを確認しています(図1参照)。
*健康診断の記録,診療情報,ライフログ等の個人の健康・医療関連記録情報

 

図1

図1:SOLPCSを用いた日本人の認知機能予測結果。左図は、認知機能正常者(N=xx)、MCI患者(N=xx)、AD患者(N=xx)の2~3年の認知機能テスト(ADAS-Cog*)のデータであり、これらのデータをSOLPCSに学習されることで、(1)予測:今後長期間の認知機能テストの変化を予測でき、(2)(この集団では)長期的な認知機能低下のパターンが急速型、中等度型、緩徐型の3グループに分類できることが分かり、(3)個々の患者が、現在、どのパターンのどの位置にいるかを精度よく予測することができました(予測誤差はADAS-Cogの最大値の10%(8.5点)以内であり、実用に足る精度が得られました。)
*アルツハイマー病評価尺度(ADAS-Cog):0~85点,点数が高い方が、認知機能が低下していることを意味する。

今後は、SOLPCSの社会実装に向けて、PHRアプリを開発・運用する企業様との共同研究等を進めていきたいと考えております。SOLPCSにご関心がある方は、臨床統計学分野代表アドレスclinical.biostat.crc(at)tmd.ac.jp までご連絡ください。

【SOLPCSの概要】
特許概要
発明の名称:認知機能の変化を予測する方法,認知機能変化予測装置,認知機能変化予測用プログラム及び記録媒体
公開番号: P2023172385
公開日:2023/12/06

理論・実証研究の成果
Hirakawa A, Sato H, Hanazawa R, Suzuki K. Estimating the longitudinal trajectory of cognitive function measurement using short-term data with different disease stages: Application in Alzheimer's disease. Stat Med. 2022 Sep 20;41(21):4200-4214. doi: 10.1002/sim.9504. Epub 2022 Jun 24. PMID: 35749990.

Sato H, Hanazawa R, Suzuki K, Hashizume A, Hirakawa A. Self-organized prediction-classification-superposition of longitudinal cognitive decline in Alzheimer’s disease: an application to novel clinical research methodology.  IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics (in press)